ザ ジュエルズ オブ アオヤマ

ザジュエルズオブアオヤマ2

昨年秋にプラダブティック青山の隣にオープンした商業ビルです。プラダと対峙するかのように敷地角に建つカルティエ南青山店と特徴ある外観のもう一棟が目を引きます。
私が興味を持ったのは、建物のデザインやテナントにではなく、この建築のつくられ方にです。
この建物の建築主は、「ヴェロックス御幸通り特定目的会社」という組織。「特定目的会社」とは聞き慣れない会社です。英語ではSpecial Purpose Company(SPC)で、SPC法によって設立が認められた不動産証券化のための特別組織です。SPCは証券を発行することで一般投資家から資金を調達して事業を行うので、建物オーナーの顔が見え難い事業です。最近いろいろなところでこのSPCによる事業が行われていて、商業ビル、事務所ビル、ホテルなどなんでも有りです。
ただ、投資目的であれば当然儲けが期待できなければ成立しませんし、デザインの理由も全て儲けに繋がらなければ許容されないでしょう。つまり都市のコンテクストや建築思想、そしてデザインコンセプトも儲かる前提で語られなければならないのです。
例えば数年先に客足が途絶えるようなことになれば、不動産は売却処分されSPCは解散、残された建物は「儲からなかった建築」という烙印を押され姿を消すことになるのです。まさに建築もデザインも消費対象という事態です。「売れるデザイン」と「やりたいデザイン」は違うのだと、かつて言われたことを思い出しました。
とは言っても、割り切れずにいる多くのデザイナー達が心配に思っているのは、何でもかんでもSPCという考えに偏ってしまうのではないかということです。欧米の優れた考えを取り入れることは良いとしても、そうすべき事とそうすべきでない事とをしっかりと判断し見極める大人の思想が不可欠だと思うのです。
将来、建築日和も設計者としてSPCによる事業に関わるかもしれません。そんな時にも客観的な視点で判断できる目を持っていたいと思うのでした。

現地でもう一つ思ったこと。カルティエとプラダの間に立っている電柱こそ都市の風景そのものです。あの電柱が示す機能性は全てを超越していて、「動かせるものなら動かしてみろ!」と言っているようです。
スゴイです。

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